ニゴイが外道扱いされる理由を考察

日本固有種のフィッシュイーター、ニゴイ(似鯉)。ルアーマンなら1度は釣った事があるであろう外道の代表格。これまで何度か釣った事はあるけど、やはりヨッシャ!とはならない。

しかし、フライフィッシングにおいては、手軽に楽しめる大型ターゲットとして、一部のマニアから人気なのだそう。確かに(全くの別種ではあるが)ボーンフィッシュにも似ているので、雰囲気だけでも楽しめそうではある。

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日本固有種のフィッシュイーター&ルアーに反応&手応えのあるファイト…と、シーバス並みの魅力を備えているのにも関わらず、何故こうも不人気な魚なのだろうか。

原因はおそらく「ニゴイ」と言うネーミングにある様に思う。ルアーフィッシングにおける装い(リールやアパレル等)には、アングラーのファッションセンスが宿っていて、お気に入りの装いで、お気に入りの魚を釣り上げる事が魅力であるように思える。相手が○○シーバスや、△△トラウト等、オサレなネーミング魚なら尚更熱くなる。しかし「ニゴイ」からは、どうしても「漁」の香りが漂ってくるのだ。これがゲームフィッシュとしての見方へ繋がらず、外道扱いされる原因ではないのかと勝手に分析している。フライフィッシングにおいては、たまたまボーンフィッシュに救われているのだろうけど。

ニゴイを将来のゲームフィッシュの地位に押し上げ、強いては新たなフィッシングフィールド開拓に寄与せんと考えるならば、ニゴイのネーミングリノベーションは必須。ニゴイをターゲットとし、釣り上げた瞬間「ヨッシャ!」となるには、ゴイニーなんてネーミングはどうだろか。なんてな。

怪魚バラマンディ狙いの旅

日本から飛行機で約6時間。久しぶりにバラマンディを狙おうと、タイを目指す事にした。深夜便での移動につき、機内で就寝…なんて思ってたけど、やはり寝付けないまま、早朝のスワンナプーム国際空港に到着。不要な荷物はBelluggへ預け、早速タクシーに乗って釣り場へ向かう。

紫銀の鱗に覆われ、黄金の眼を持つクールな魚体、ゴンっとロッド全体に衝撃が走るバイト、水柱&水飛沫を上げながらの大ジャンプ、ドラグをガチガチに締めても余裕でラインを引き出して来る馬鹿力。そんな唯一無二の釣りを満喫する為だけに、片道4800kmを移動してきた。エキサイティングファイトを求め、いざ実釣開始。

ところが、状況は激シブを極め、1尾を手にするまで悪戦苦闘。どこにルアーを投げても生命反応が無い。以前の爆釣パターンも全く通用せず、早くも成す術無し。遠投を止め、岸際に潜んでいるであろうバラマンディを狙う為、ピンポイント撃ちに作戦変更。これによって何とか結果は得られたものの、豪快な展開を期待していただけに、やや不完全燃焼。

ところで、タイの駐在員時代から約10年が過ぎた。当時、休日はバラマンディ釣りに明け暮れ、多くの釣り仲間達とここに足を運んだものだ。仲間達は既にこの国を離れたが、フィールドには思い出が点在していて、仲間達の姿が至る所に見える…そんな気がした。更にこの釣り場に立っているプルメリアの木には特別な思い出があり、当時と変わらぬ綺麗な花が咲いていて、時間が戻った様な…そんな錯覚。

大好物のカオパットクン(海老炒飯)。プリプリの海老のほか、ライムとトマトの爽やかな酸味がイイ感じに効いている。ここの炒飯は、世界一美味い炒飯だと思う。見るもの、食べるものの全てに思い出が詰まっていて、やや情緒的な遠征釣行になってしまったけど、世界の何処かに再び戻る事が出来る釣り場があるなんて、幸せだなと思ってみたり。さて…今夜の便で帰るので、納竿。また会う日まで。

冒険小説とアメリカナマズの魅力

Mark Twainによって書かれた冒険小説、The Adventures of Tom Sawyer(1876)。ミシシッピ川のほとりの村に住む主人公トムソーヤ(トム)とハックルベリー(ハック)をはじめとする友達との冒険小説だ。作中、ナマズを釣って食べるシーンがある。実はこのナマズは、此度のターゲットである怪魚チャネルキャットフィッシュ(Channel Catfish)なのだそう。

チャネルキャットフィッシュとは、アメリカ大陸全域に生息する大型ナマズの一種。食性は腐肉食で、ハゲワシやハイエナ同様、スカベンジャーと呼ばれる自然界の掃除屋だ。底層を生息域とし、主に死肉等を漁っている魚であるので、基本的な釣り方は強めの匂いを放つエサを使ったブッコミ釣り。エサには鳥レバーやサバの切り身を選ぶと良いとされるが、最近は専用の釣りエサが売られているので、今回は手軽に扱えるこちらをチョイス。

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エサを投入すると、ものの数分でロッドが曲がる。時にロッドごと水中へ持って行かれてしまう事もある様なので、バイト直後の初速には特に要注意だそう。ドラグをガチガチに締めている筈なのに、簡単にラインが出されていく馬鹿力に加え、下へ下へ潜行しようとする重厚感あるファイト。兎に角、魚を持ち上げられる様、ロッドを立たせつつ、怪力に耐え続ける。小さくても50cmを超える魚種なので、納得の怪魚バトルだ。

さて、アメリカナマズは元々食用魚であり、大変美味…と言うのは周知の事実。釣行ついでに、チャネルキャットフィッシュのカマ肉(背ビレ部分)を使ったナマズバーガーを賞味する事にした。香ばしく焼かれたバンズ、蓮根とナマズが練り合わされたパテ、酸味の効いたピリ辛チリソースとタルタルソースの味わい。正直、好奇心で挑戦したのだが、これは想像以上にウマし。

食べ終えると、この日の釣りは、何となく完成され尽くしてしまった感じ。釣りも胃袋も満足してしまったところで納竿。釣ってヨシ、食べてヨシな怪魚アメリカナマズゲームは、もっと自分のフィッシングライフに取り入れていきたい。

明治時代の遺産を追いかけるブルックトラウト釣行

奥日光湯川の朝。穏やかで上品な景観は、まるでヨーロッパのチョークストリームのよう。水楢ミズナラ)の森の香り、森に響き渡るカッコウの鳴き声を楽しみつつ、日本におけるフライフィッシング発祥地で、美麗ブルックトラウトを追ってみたい。

明治の頃、外国人高官の避暑地として親しまれてきた奥日光。1902年には、英国商人トーマス・グラバーの企画により、湯川へブルックトラウトが放流。以来、湯川は英国式釣り場として利用され続け、日本におけるフライフィッシング発祥地と称される様になったのだそう。史実と自分を重ね合わせながら、当時の末裔であるブルックトラウト達と対峙する歴史浪漫釣行は、一味も二味も奥が深い。

所謂、文明開化を迎えた明治時代、在日外国人は増加。現代のように旅客機なんて無いので、一度母国を離れたら、そう簡単に帰国出来なかった事だろう。当時の高官達は、きっとこの自然に向き合いながら故国を偲んでいたに違いない。故郷を想う気持ちは、いつの時代も皆同様。

200年以上経った今でもブルックトラウト達は、緩やかな流れと群生する水草に身を潜め、ゆっくりと生きていた。フィールドには、トビケラを捕食しているパワフルなライズが頻発。#18カディスをチョイスし、終始ブルックトラウト達と遊び続ける。
奥日光湯川にある釣り遺産。美麗ブルックトラウト達の姿があり続ける限り、この地における歴史的価値は廃れる事はない。美麗ブルックトラウト達よ、ありがとう。また会う日まで。

猛花粉の東古屋湖で挑む桜鱒、虹鱒

これから夢追い釣行に出掛ける。噂に違わぬ最悪の猛花粉の中で挑むのは、東古屋湖に生息する良型のトラウト達。このフィールドで開発されたと言われるご当地ルアーを携え、ポイントを目指してみる。

「1度決めたことは、最後までやり抜きなさい」。子供の頃、親父によく言われたものだ。しかし、理屈っぽい自分は、やがてこう考えるようになる。「1度決めた事とは言え、根拠や理屈を伴わない行動は、継続する価値があるのだろうか…」と。だが、その答えは「YES」であると、今は思っている。

釣りの世界ってのは、どんなに良い情報を収集して挑んだとは言え、その通りにいかない事ばかり。むしろ最後は「底力」がモノを言う世界だ。釣果に繋がる根拠や理屈なんて殆ど無く、「このルアーさえ投げ続けていれば、釣れる(だろう)」という意気込みだけが心の拠り所になることばかり。

さて…四苦八苦の末、やっと手にすることが出来た良型のサクラマス。このルアーを選んだ根拠、このカラーで釣れた理由、そんなものは無い。「なぜ釣ることが出来たのか?」と問われたら、きっとこう答えると思う。「このルアーで釣ると決めたから、これを投げ続けた」と。当時、親父が言いたかったのは、何事も信念を持てということだったのかもしれない。

そして更にレインボートラウトを追加。とりあえず、魚を手にすることが出来て一安心。終日舟を漕ぎ続けた上、鉄製のルアーを全力で投げ続けたことにより、腕力や握力はもう限界…。ありがとうトラウト達よ。またいつか訪れる日まで。