明治時代の遺産を追いかけるブルックトラウト釣行

奥日光湯川の朝。穏やかで上品な景観は、まるでヨーロッパのチョークストリームのよう。水楢ミズナラ)の森の香り、森に響き渡るカッコウの鳴き声を楽しみつつ、日本におけるフライフィッシング発祥地で、美麗ブルックトラウトを追ってみたい。

明治の頃、外国人高官の避暑地として親しまれてきた奥日光。1902年には、英国商人トーマス・グラバーの企画により、湯川へブルックトラウトが放流。以来、湯川は英国式釣り場として利用され続け、日本におけるフライフィッシング発祥地と称される様になったのだそう。史実と自分を重ね合わせながら、当時の末裔であるブルックトラウト達と対峙する歴史浪漫釣行は、一味も二味も奥が深い。

所謂、文明開化を迎えた明治時代、在日外国人は増加。現代のように旅客機なんて無いので、一度母国を離れたら、そう簡単に帰国出来なかった事だろう。当時の高官達は、きっとこの自然に向き合いながら故国を偲んでいたに違いない。故郷を想う気持ちは、いつの時代も皆同様。

200年以上経った今でもブルックトラウト達は、緩やかな流れと群生する水草に身を潜め、ゆっくりと生きていた。フィールドには、トビケラを捕食しているパワフルなライズが頻発。#18カディスをチョイスし、終始ブルックトラウト達と遊び続ける。
奥日光湯川にある釣り遺産。美麗ブルックトラウト達の姿があり続ける限り、この地における歴史的価値は廃れる事はない。美麗ブルックトラウト達よ、ありがとう。また会う日まで。